親ガチャ問題は、いよいよ共通テストでも出題されることになりました。
親ガチャは2021年に流行語になった言葉です。
2023年度の共通テストでは、直接的に親ガチャという言葉は使われませんでした。
しかし、明らかに親ガチャを連想させるテーマです。
本記事では、共通テストの親ガチャ問題に関して考察します。
その上で、親ガチャと努力に対して独自の見解を最後に示します。
この記事で分かること
- 親ガチャがテーマになった共通テストの問題文
- 共通テストで論点になった親ガチャの話
- 共通テストを通して考えたい親ガチャ問題の本質
親ガチャが出題された大学受験共通テスト倫理の入試問題について

まず最初に、話題になった2023年度共通テスト倫理の入試問題をチェックします。
どのような論点だったのか、分かりやすく解説します。
2023年共通テスト倫理の問題文
まず最初に、以下の文章をご覧ください。
実際に2023年共通テスト倫理で出題された問題の、冒頭の会話文です。
G:すごい豪邸...。こんな家に生まれた子供は運がいいね。不平等だな。
2023年度共通テスト倫理より引用
H:生まれた家とか国家とか個人が選べないもので差があるのは、不平等だとしても変えられないよ。与えられた環境の中で頑張ることが大事だよね。この家の子どもたって、社会で成功できるかどうかは本人次第と思う。
G:いや、その子どもも、家が裕福なおかげでいい教育を受けて、将来お金を稼げるようになったりするでしょ。運の違いが生む格差は、社会が埋め合わせるべきだよ。
H:それって、幸運な人が持つお金を不運な人に分け与えるということ?運の違いなんて、そもそも社会のあり方と関わる問題だとは思えないけど。
G:そう? 例えば、運よく絵の上手な人が昔の上手な人が漫画家としてお金を稼げるのは、漫画を高く評価する文化が社会にあるからでしょ。人の才能も、社会のあり方によって、通よくお金になったり運悪くお金にならなかったりするよ。
H:なるほど。けど、才能を成功に結びつけるのは社会だけじゃないよ。漫画家も才能を磨いてプロになるわけでしょ。そうした努力については、個人を評価するべきじゃない?
G:一理あるね。ただ、努力の習慣が身につくのも運による面もあるよ。地元の学校が「褒めて伸ばす方針」で何事も頑張って取り組むようになったとか。努力できるかどうかは、社会の仕組みや構造に左右されると思う。
H:それはそうかも。ただ、同じ境遇でも、苦学して立派なる人もいればそうでない人もいる…。最終的には、努力は個人の問題じゃないかな。
G:するとHは、運の違いが生む格差は全て、個人が努力で乗り越えるべきだと言うの?幸運な人同じけ努力した不運な人が、格差のせいで幸運な人に追い付けないようだと、不運な人の努力は評価されていないとも言えるよ。
H:確かに…。ただ、努力も全て運次第だからという理由で、努力する人がしない人と同じ扱いを受けるとしたら、それはやっぱり不公平じゃないかなあ。
G:そうだよね…。次の倫理の授業が終わったら、先生たちに聞いてみようか。
共通テスト倫理2023年のポイント

この年の問題では、以下が争点でした。
こんなところです。
親ガチャ否定派のH
問題文においては、Hは終始親ガチャ否定派です。
確かに生まれた環境による差はある。
そういう意味では、親ガチャは正しい。
しかし、与えられた環境は変えられない。
だからこそ、努力によって結果を出せばいい。
そうやって環境のせいにせず、結果を出した人こそが報われる社会であるべきだ。
ザックリこんな感じです。
世の中で親ガチャ否定派の人って、だいたいこんな意見です。
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親ガチャ問題を社会が解決すべきというG
アンチ親ガチャのHに対し、親ガチャ肯定派なのがGです。
親ガチャによる格差を全面的に認め、社会がそれを解決すべきという主張です。
才能が評価されるのも、正直運です。
漫画家が漫画家として成功できるのも、漫画という文化を社会が評価できる仕組みがあるからです。
そういう意味では、成功している人って運がいい。
また、努力についても持論を展開します。
そもそも努力できるかどうかが、親ガチャ要因に左右されすぎる。
親が裕福でそこそこの学校に行き、努力の習慣を身につけやすい人は有利。
こんな感じで、親ガチャ問題が根っこにある前提で、格差を埋めるべきだという主張です。
正直なところ、世の中の実態を的確に捉えているのはGの方です。
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共通テストの倫理は親ガチャ問題と親和性が高い

今回、明らかに親ガチャ問題を取り扱った共通テスト。
これは今の時代の流れを如実に表しています。
流行語にも選ばれた親ガチャだったので、あえて出題したのでしょう。
近年急速に広まっているトピックを出すのも、入試問題の特徴です。
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ただ、共通テストに関しては、昔からこんな問題も多いです。
特に倫理という教科は、「格差」をテーマにして哲学を紐解く学問です。
そういう意味では、親ガチャ問題とは非常に親和性が高い教科です。
そういう意味では、共通テストに親ガチャが出ることは、さほど驚く話でもありません。
なんなら、「無知のヴェール」という考え方は、親ガチャ問題でしばし取り扱われます。
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この「無知のヴェール」は哲学では有名な話。
当然ですが、高校倫理のテーマですし、現代文などでも出題されます。
今回はドンピシャで親ガチャだっただけで、共通テストはこういう性質のテストなのです。
親ガチャ問題をテーマにした共通テストから考えるべきこと

あえて親ガチャ問題を取り扱った共通テスト。
これには、出題者側には何か意図があったように思えます。
おそらくですが、問題を通して親ガチャ(格差社会)について受験生に色々考えて欲しかったのでしょう。
そこで、共通テストから導ける、親ガチャ問題の論点を改めて整理しておきましょう。
親ガチャは正しいのか

まず最初の前提条件。
そもそも親ガチャは正しいのか?について。
これについては、1000%正しいでしょう。
GもHもその点は同じ意見です。
生まれる場所や育てられる親のランクによって、子供の人生は変わる。
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親のレベルの違いも相当開いているというのも、ほとんどの人が同意できるはずです。
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親ガチャ問題は「努力論」で片付けていいのか

次に親ガチャと努力の問題。
親ガチャ失敗した人でも、努力で人生なんとかしよう!
この発想で社会はいいのか?って話です。
結論、これは乱暴です。
正直なところ、大人になってから成果を出す上では2つ必要なことがあります。
①才能
②運
これらは必要条件で、なければ成功しません。
一方で、「努力」は十分条件ではあるが、必要条件ではない。
極端な話、才能がピカイチなら、努力ゼロか限りなくゼロに近い努力で成功しちゃいます。
つまり、成功する上で必ずしも努力は必要ではないので、不平等なんですよ。
でも、才能はぶっちゃけ必要です。
そういう意味では、親ガチャ(遺伝ガチャ)によって決まる「①才能」の影響が大きすぎます。
ただ、それは子供自身が選べるものではない。
だからこそ、本人の努力の問題に逃げずに社会がそれを救済すべきだと言えるのです。
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能力格差は親ガチャで決まります。
優生思想とかいう人がいますが、優秀かそうじゃないかは明らかに遺伝子です。
そして、それは生まれてくる子供が選べないのなら、その格差は社会システムで是正すべきです。
その際問題になるのは、優秀層の説得です。
正直、能力の低い人を努力させても、経済的な価値は高くありません。
努力というのは、その領域において才能がある人がするから効果があるものです。
つまり、社会全体を引っ張っていくのは優秀層です。
この層には、「親ガチャ失敗した能力の低い人のい分まで頑張ることを納得」してもらわなければいけません。
そのためには、あなたが優秀なのは、親ガチャに当たったからだということを自覚させる必要があります。
エリートは、自らの努力によって自分の人生を切り開いていると錯覚しています。
ただ、シンプルに親ガチャに当たっているから、努力した分成果が出やすいだけ。
親ガチャ失敗で知能指数が低い状態で生まれたら、同じ努力しても成果は違うんですから。
まずはそのことを、優秀層にはきちんと理解させる必要があります。
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その上で、何かしら頑張ったら報われるだけのインセンティブを与える。
そうしないと、彼らも一生懸命頑張ってくれないので。
究極、社会はこっちに向かっていくしかないのかな?という話です。
なお、こういう考え方は名著「これからの正義の話をしよう」で詳細に書かれています。

最後に:親ガチャと共通テストから考えるべきこと
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
この記事のまとめ
- 2023年共通テスト倫理の親ガチャ問題:
- 2023年の倫理試験には、間接的に親ガチャの概念が含まれており、出生家庭によって人生の機会が異なるという格差を反映しています。
- テストのポイント:
- 個人の成果は努力だけによるものか?
- 運は人生の結果を決定する要因か?
- 努力は環境に依存すべきではないか?
- 運による格差は社会が是正すべきか?
- 個人の努力をどのように評価するのが適切か?
- 討論の視点:
- H(親ガチャ批判派): 出生の状況による不平等は存在するが、個人は与えられた環境内で頑張るべきであり、社会は運命的な富の再分配を基本として行うべきではないと主張。
- G(親ガチャ肯定派): 社会の構造が特定の才能や特性を価値あるものとして評価するが、これは運に影響されるため、社会はこれらの格差に対処すべきだと論じる。
- 社会的意味合いと解決策:
- 親ガチャの影響を緩和するための社会的メカニズムが必要であるとし、努力は重要だが、生まれながらの大きな利点または不利を克服するには不十分であることを強調。
- 哲学的文脈:
- 記事では、ジョン・ロールズの「無知のヴェール」の概念をリンクしており、それは社会的地位から解放されて公正さを試す方法である。
- 教育への影響:
- このようなテーマを取り入れることで、倫理テストは学生に対して、社会が努力、才能、運をどのように評価するかを批判的に考察するよう促しています。
- 最終的な考察:
- 努力だけが人生の不平等を乗り越えるには十分ではないという概念に異を唱え、生まれた環境に関わらず全ての個人に公平な機会を提供する社会構造を提唱しています。